経営計画書を作ろう②ビジョンを描く

組織開発 | No more Consulting

経営計画の一丁目一番地

前回に引き続き経営計画書づくりです。

前回「経営計画書を作ろう①」では、経営計画書のひな形を紹介していますので参照ください。
https://sun-light-consulting.com/business-plan

経営計画書というものは、基本的に3~5か年の中期経営計画を年次ごとに見直しを掛けてマネジメントされることが一般的です。当該期を終えて、その期の実績によって、中期計画のおける目標、戦略、戦術をブラッシュアップさせていく、いわゆる「ローリングプラン」と呼ばれるものですね。
期末が近づいてくると、幹部や管理職を集めて当該期の予算達成度合いを勘案しながら、次期の予算編成に多くの時間を費やす光景は、多くの会社で見られます。

経営環境の変化や実績度合いに応じて、次期以降の計画を修正しつつ各部門の目標、戦略、計画、予算案が編成されていきますが、その基本的な枠組みが中期経営計画書となるのです。
その中期経営計画書のスタートであり、最終ゴールとなるものが「経営ビジョン」です。

「経営ビジョン」はその会社が目指すべき姿そのものであり、すべての計画の集大成です。長期的な視野で会社がどうあるべきか、どのように社会に貢献しているかを描き、そのマイルストーンを3~5年で表現したものです。

間違いだらけの「経営ビジョン」

「経営ビジョン」には何が求められるのでしょうか?

第1には、”イメージ”です。
想像力を搔き立てられ、そこに到達したときの姿が鮮明に描けるかどうかです。人は、自分がイメージできないことには向かうことができません。イメージが持てないものには共感ができないものです。

第2には、”他者貢献”です。
最近では「パーパス経営」などという言葉が流行り言葉になっていますが、要するに社会や市場にどのような価値を提供し、貢献しているか、ということです。利益追求が先行することは我欲の追求、つまりただのお金儲けにしか映らず、共感は得られません。

第3には、”使命感”です。
その会社のもてる強みや特徴が生かせる場所かどうかが重要です。従業員にとっては、自分の会社の強みは、ひとつの誇りであり拠り所です。”我々だからこそできる”、”我々だからやらねばならない”という使命感を刺激するビジョンであることが重要です。
反対に、自社のビジネスモデルや強みからかけ離れている、あるいは、相当のイノベーションが必要とされるビジョンでは、社員のモチベーションやテンションが続きません。

中小企業の中には「上場」をビジョンに掲げる組織も少なくありません。
「上場」自体は、容易いものではありませんし、企業価値を高める有効なことであることに異論はありませんが、それは”手段”であり”目的”ではありません。「上場」そのものは資金調達が最大のメリットであって、そのメリットを生かして何を為すべきか?どう貢献するか?の議論が後回しになっている組織を良くみかけます。

凝集性を高める「経営ビジョン」

「集団凝集性(しゅうだんぎょうしゅうせい)」という言葉があります。
集団や組織の統合性の強さという意味で、その手段の結びつきの度合やその構成員を集団内にとどめる力の強さを表します。この凝集性は、その集団の構成員の目的や目標の方向性が一致すると強まります。

マイクロソフト社の創業時のビジョン

上の写真は、1975年にビルゲイツ氏がマイクロソフト社を創業した際の「ビジョン」です。

”A Computer on every desk, and in every home, running Microsoft software.”
(すべてのデスクに1台のコンピューター、すべての家庭にも1台のコンピューター。
 そして、マイクロソフトのソフトウェアがそのコンピューターを動かしている。)

創業から20数年後に「Windows98」はコンピューターを”パーソナルコンピューター”に変えました。
「Windowsシリーズ」は、今では”ディファクトスタンダード(事実上の世界標準)”となって、世界中のビジネスだけでなく、我々の生活の多くを支えています。

優れたビジョンは、そこで働くスタッフのエネルギーを集めるものです。凝集性の高さが高密度な組織エネルギーとなってビジョン実現へと向かうのでしょう。


経営計画は、ビジョンを実現するための設計図です。またビジョンは、組織計画の1丁目1番地です。
よいビジョンは、イメージを掻き立て、困難な目標に対して向かう凝集性を高めるのでしょう。

ビジョンにまつわる”イーライリリーのミラクルの物語”のお話も参考になると思います。詳しくはこちらのブログをご参照ください。
https://sun-light-consulting.com/miracle-story