ビジネス・スキル TOP10

組織開発 | No more Consulting

「ビジネスマンに一番大切なスキルって何ですか?」

研修講師やコンサルタントとして、企業の人材教育を支援する立場でありがら、この問いに答えることは非常に難しいものです。
そもそも、その企業のビジネスモデル、環境や業績の状況、組織風土、社員の状況によって、求められるスキルは異なります。
しかし、人材の成長を促進することや、人事評価の観点からも、ビジネスマンに必要なスキルを定義することは、極めて自然な営みであると言えます。

本ブログでも、”カッツ・モデル”を用いてマネジメントに必要なマネジメント・スキルを紹介しました。(”カッツ・モデルについてはこちらをどうぞhttps://sun-light-consulting.com/katzmodel

カッツモデルによれば、ビジネスに必要なスキルは、「テクニカル・スキル(業務遂行能力」「ヒューマン・スキル(対人関係能力)」「コンセプチュアル・スキル(概念化能力」大別されます。

「テクニカル・スキル(業務遂行能力)」には、そのビジネスモデルや担当職種で求められる専門知識や専門能力に加えて、それらを助ける周辺テクニックをさします。
例えば、営業力や事務処理能力、ITリテラシー、財務会計知識に加えて、様々な人との調整を果たすコミュニケーションスキルや、仕事の効率性を高める計画力や遂行力なども該当します。

「ヒューマン・スキル(対人関係能力)」は、組織で仕事をするビジネスマンにとって、極めて重要で幅広く必要なスキル言えます。取引先や顧客だけでなく、共に働くメンバーからの信頼を構築し維持する為の人格面に由来するものであり、時にそれらは組織の風土、文化にも大きな影響を与えるものです。

「コンセプチュアル・スキル(概念化スキル)」とは、目には見えない事象を解析し、想像力を働かせて、問題の核となる真因を解明したり、未来に向けての課題を与件したりすることで、問題の予防やイノベーションを実現する為のスキルです。

職能等級という成長(出世?)街道の通行手形

”カッツ・モデル”はビジネススキルを、上記に3つの分野で分けて、必要とされるマネジメントレベルに応じて、そのウェイトが異なることを示した非常にわかりやすい理論です。
しかしながら、それらのスキルが実際にどのように必要になっていくのか?
まさか、入社したばかりの新入社員にすべてのスキルを満遍なく教え込むことはあり得ませんから、職位に応じて必要な職能基準を設けることで、段階的に習得すべくスキルを可視化することがあります。いわゆる”職能等級制度”という成長の目印かつ人事評価の基準書となるものです。

<等級別職能基準書サンプル>

上図は、階層別に必要とされる知識やスキルをプロットした等級別職能基準書の事例です。
仕事がら様々な企業の人事制度上書類として見る事もありますし、作成を依頼されることもあります。その企業のビジネスに精通し、そこで働く人材の特徴や行動特性(コンピテンシー)などを勘案する必要があり明示することは簡単なものではありません。

しかし、こ基準がある程度網羅されることによって、組織における人材育成の道標が出来上がります。その道標をクリアする為にスキル教育も細分化されるので、成長を促進する、または職位を駆け上がるための教育/学習テーマも明確になりやすくなります。

<等級別教育基準書サンプル>

等級別職能基準書を明確にすることで、階層別の教育テーマもあらかた形にすることができます(上図)。
研修やコンサルへの支援依頼も、こういったものに基づいて行われることは、順番や形式を重んじる日本企業において重宝がられるものです。

しかし…経営環境の変化が大きい現代において、このように階級に応じた昇順教育を重視することは、本当に有効なのでしょうか…?

ダボス会議がしめす現代に必要なビジネススキル

スイスのダボスで行われる世界の知識人やビジネスリーダーや政治指導者など政治経済界のトップリーダーの会合である”世界経済フォーラム(通称:ダボス会議)”。
2016年時点の会議で、「2020年に必要なビジネススキル」として以下が発表されていました。

順位必要なビジネススキル
複雑な問題解決力(Complex Problem Solving)
クリティカルシンキング(Critical Thinking)
創造力(Creativity)
マネジメント力(People Management)
人間関係調整力(Coordinating with Others)
EQ:情緒的知性(Emotional Intelligence)
判断力と決断力(Judgement and Decision Making)
サービス志向(Service Orientation)
交渉力(Negotiation)
10認識の柔軟性(Cognitive Flexibility)

2021年も半ばに差しかっかた今、コロナショックという未曽有の事態を予測していない中での発表であったわけですが、非常に納得感があるように思います。

等級や職位に応じて知識やスキルを習得することは、もちろん間違いではありませんが、すべてのスキルと言うのは仕事の場面に応じて独立して使われるものではなく、前後の状況や脈絡におうじて組み合わされて使われるものでしょう。

その意味では、単に知識を習得するのではなく、その使い方こそが重要なのです。

左の表は、まさに実践するためのスキルです。
教育を行う上で、スキルをどう使うか、今後の未来を予測した時に、本当に汎用性の高い持続的成長を支えるスキルは何であり、また、その習得をどう優先付けるか?

知識やスキルをアプリケーションだとするなら、その効果的活用を実現する為に、まずインストールすべき基本OS(オペレーティングシステム)は何が必要かを考える必要がありますね。

目指すべきは、”No More Consulting (コンサルタントなんていらない!)”組織です。
混迷を極める現代。優先すべき教育をコンサルタントに丸投げしてはいけません。