”期待人事”で管理職が生まれる現実
規模の大小に関わらず、組織を運営していく上で、管理者(マネージャー)は具体的に何をマネジメントすべきでしょうか?
「管理職への教育が出来ていない」と研修会社やコンサル会社に、自社の管理職への教育を外部に依頼されることがあります。
私自身、研修講師としてもコンサルとしても、そのようなお声を頂戴し様々なプログラムを用意してご提供してきましたが、これが、実に難しいものです。
例えば、営業職など特定の職種であれば、その業務フローごとに求められるテクニカル・スキル(職能)が教育カリキュラムになりますが、管理職に求められるスキルというものは非常に幅が広く、求められる中核能力がコンセプチュアル・スキルと呼ばれる定量化できない概念的スキルだからです。
(コンセプチュアル・スキルについてはこちらをhttps://sun-light-consulting.com/katzmodel)
問題は、管理者自身が、自分たちに求めらていることを理解していないことです。
多くの管理職が、経営側の”期待”でそのポジションに就いており、管理者としての一般教養を備えないままに、自分自身の知識と経験の中で部隊をコントロールしてしまっているところに多くの問題は起こります。パワハラなどはその顕著な例でしょう。
マネジメントの3領域
管理職はどのような機能を持つべきなのか、自社の管理者たちに不足している機能はどこにあるかを考えるなら、その機能が必要とされる領域で見当をつけるのが効率的ではないでしょうか。
上図は、マネジメントが必要とされる局面を示しています。
1.組織(成果を最大化するための目標管理)
まず求められるのは、組織の成果をコミットする為の計画管理能力です。これがなければ、そもそもチームの動き出しを実現できません。経営陣が立てた経営方針や事業戦略を、いかにして担当部門、担当セクションの具体的な目標設定と活動計画に展開するか、そしてその計画をどう管理するかが問われます。
2.業務(適切な業務管理とその改善)
業務管理は、効果的かつ効率的な業務フローが確立しているかどうかをマネジメントすることです。コンプラインスを意識しながら、各種業務手順の正確性と効率性を実現し生産性を拡大することを目標として管理することですから、幅広い視野と各業務の内容や性質の理解が必要です。営業成績だけで管理職に登用されて営業業務以外には全く関心を持てない管理者を目にすることが多いですが、それではいつまでも経ってもガバナンスは効きません…。
3.人材(持続的成長を支える人財育成)
人材育成こそ組織の持続的成長を実現するとともに、管理者自身のマネジメントの正しさを証明するものです。「リーダーとフォロワーの距離は一定である」とPドラッカーは述べましたが、まさに、部下の成長は上司の成長に掛かっています。OJT、動機づけ、評価など正しく人材を育成することは企業経営の生命線です。
「カッツ・モデル」×マネジメント3領域
自社の管理職教育を検討するのなら、まずは、現在の管理上のボトルネックを把握することです。課題が不明確なまま教育ノウハウを外部に委託することは非効率であり、非効果的なこともあります。
上記のマネジメント領域に加えて、「カッツの理論」における3つのスキルを掛け合わせみることです。
(「カッツの理論」についてはこちらをhttps://sun-light-consulting.com/katzmodel)
縦軸を「カッツ・モデル」の3つのスキルとし、横軸をマネジメントの3つの領域にした上図の中には、それぞれの掛け合わせで、見えてくるマネジメント課題が浮き彫りになります。
自社の組織管理において、現状は何が課題になっているか?
上図の中に同様の課題があるのなら、教育における具体的領域とスキルがある程度絞り込めるはずです。
いかがでしょうか?御社における現状課題と一致するものはありますか?
目指すべきは、”No More Consulting (コンサルタントなんていらない!)”組織です。
自社の組織課題を可視化することから始めましょう。
そのためには、今回のように「カッツの理論」と「マネジメント領域」を全体マップに敷いてみることです。
本ブログでは、いかにして自社で組織経営を高度化していけるか、そのためのヒントや手順をご紹介してまいります。